山里の聞き書き

山里文化研究所 刊行書籍

聞き書きとは
「聞き書き」は、誰かの話を聞き、それをそのとおりに(趣旨を変えず、書き手の評価や感想を加えずに)書き表すものです。文章の中の一人称(わたし)は話し手です。

山里の聞き書きとは

山里文化研究所では、テーマを自然とかかわる暮らしに置き、文化の記録というよりは、書き手の学び、話し手と書き手の交流(都市山村交流)、地域の見直し・魅力発見のために行っています。次のようなスタイルで行うものを「山里の聞き書き」として、他団体が行われるののお手伝いもしてきました。

聞き書きは一対一で行います。概ね人口1000人ぐらいの小地域で行う場合が多く、そこで10~15人ぐらいの話し手さんに、若者やよそもの10~15人ぐらいが各自お話を聞き、作品にまとめます。話し手さんは何かで名のある人、地域の役員さんや歴史家さんよりは、ひたすらその土地の生業に生きてきたような「普通の人」を探します。それを1冊の本にして、地域にお返ししています。地域外の人にも広く普及したいと思っていますが、長く続ける中で、地域のことを一番知りたいのはその地域の人であるということが分かってきました。そして誰よりも本を喜んでくれるのも、その地域の人たちであるということも。自分がずっと暮らしてきたその土地は、取るに足らない「名もない所」だったのが、本によって、一つの注目に値する所として立ちあがってくるのです。これを、「名もなき人、名もなき村に、新しい光を当てる」と言っています。

他団体発行書籍

書籍リーフレット 1020 book Leaf

これ以上の詳細は後日掲載します。

山里の聞き書きの工程

〇山里文化研究所で「聞き書き塾」を通常1泊2日で行い、聞き書きの仕方を知っていただく。

〇各自、聞き取りし、作品をまとめる。

〇途中で研修会を行い、みんなで検討する。

〇各自、作品を仕上げ、話し手さんに確認を取る。

〇書籍として印刷製本する。

〇刊行記念会を行い、書籍をお披露目し、書籍配布を開始する。

*最初の聞き書き塾から刊行まで、7~10カ月で行っています。

作品づくりのしかた

〇インタビューに出かけてお話を録音し、持ち帰って書き起こしてから、読みやすいように文章を整理します。

〇インタビューの場所は、話し手さんのお宅または仕事場で、通常は2、3回の面会で仕上げます。

山里の聞き書きから得られること
聞き書きでは、聞き手が学び、心動かされるだけでなく、話し手さんも元気付けられていきます。山里のなんでもない(と思っていた)暮らしの中にある大切なものに気付いていく行為でもあります。

山里の聞き書きの背景

はるか昔から、生活に必要なエネルギー、水、食料、道具などの資源を森に頼り、自然と深いつながりを持って生きていました。
その暮らしは、高度経済成長によって大きく変化しました。化石燃料に依存する生活に変わるさまは、まさに燃料「革命」でした。
金銭的な豊かさと便利さを求め、人は都市に集まり、経済成長と大量消費を前提とする暮らしになりました。
地球温暖化などの環境問題をもたらしています。
森と暮らしは切り離され、日本の森も農地も川も海も荒れ、人のつながり、地域の力が弱くなってしまいました。便利になればなるほど、人と人との結びつきが失われていくというジレンマを抱えている。というよりむしろその逆で、科学技術の発展によって人が一人で生きていける世の中をつくろうとしてきたように見えます。

今の私たちがどうあればいいのかを深く考えるために、「革命」前の日本と、人の生きる姿のありようを、今知り、学び、記録することで何かが得られるかもしれないという期待で、この山里の聞き書き活動を行っています。

聞き書きとは、人の生きてきた様を敬う活動
山里文化研究所代表 清藤 奈津子(恵那山里の聞き書き2008あとがき)
山里文化は、第二次大戦直後には忘れ去ることが美徳とすらされてきたようです。しかし、環境が悪化し資源が底をつきそうなこれからの社会において、山里文化は再び必要とされ、山里資源は見直されるでしょう。そこで、今、私たちは山里に生きる知恵や技術を記録し継承しなければなりません。さらに、一つ一つの物事を分断して記録するのではなく、それを用いて生きてきた「人」の喜び、悲しみ、心のあり方や労働の意味といった、物事の背景に共通してある「懸命に生きる姿」こそをすくいあげることに私は意義を見出します。民俗記録調査では拾えない山里の心を今こそ記録したい。聞き書きとは人の生きてきた様を敬う活動なのです。それはまた、聞き手と話し手との協働で紡ぎ出される物語でもあります。



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